2021.08.24
今回も侘茶の成立についてお話します。前回は、村田珠光が茶に禅の思想を加えたというお話をしました。今回は、その弟子にあたる武野紹鴎です。
紹鴎は珠光の精神を深め、侘茶を完成させたと言われています。もともとは三条西実隆に和歌を師事しており、和歌の精神を茶の湯に取り入れました。
茶の湯を表すものとしてあげたのが、
見わたせば花も紅葉もなかりけり浦のとまやの秋の夕暮
藤原定家
という和歌です。
このように、茶の湯を「足らざることに満足し、慎み深く行動することである」 としました。
例えば、唐物の茶器を使用していたところを、信楽、瀬戸、備前などの和物に変えるなど、茶室や茶道具の改革をし、場所や道具よりも精神性を重視するようになりました。
こうして、茶の湯が儀式的なものから、「道」へと昇華される道筋を作りました。そしてその思想は千利休へと受け継がれます。